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宜野座村工場誘致事件【判例ノート】

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六花です🌸
テキストを読みながら首や肩のリンパをゴリゴリ流すのがマイブームです。
だんだんそういうをする気持ちの余裕もなくなりそうなので、なるべく今の疲れを後に溜めないようにしたいところ。

今日は昨年の試験で出た判例を読み返していました。
昨年と全く同じ問題は出ないので、過去問を完璧にやりこむ必要もないとは思うのですが見ているうちに他の模試で出てきて曖昧だったところも思い出すことができました。テキスト外の曖昧つぶしもやっていかなきゃ…!

宜野座村工場誘致事件

(最三小判昭和56年1月27日)

ざっくり要旨をまとめると

村が約束を翻して工場建設の協力を拒否したので損害賠償を求めた
→不法行為であることを認めた

訴訟の前提

・村長が工場建設を誘致した
・上記の前提に基づき原告は準備を進めていた
・村長が選挙で交代
・新村長は建設反対派で、建設中止に
・原告が損害賠償を請求

訴訟の結果

判決はその他
信義衡平の原則に照らし、不法行為責任違法な加害行為であることが認められた

信義衡平(しんぎこうへい)の原則とは

行政であると私人であるとにかかわらず、一定の法律行為を行うに当たっては従わなくてはならないと考えられている、いわゆる「法の一般原則」の一つ
Yahoo!知恵袋より抜粋)

平成30年度行政書士試験の択一式問題として出題

出題された部分
(*この判決文での「右」は工場建設のこと)


住民自治の原則は地方公共団体の組織及び運営に関する基本原則であり、また、地方公共団体のような行政主体が一定内容の将来にわたつて継続すべき施策を決定した場合でも、右施策が社会情勢の変動等に伴つて変更されることがあることはもとより当然であつて、地方公共団体は原則として右決定に拘束されるものではない。
しかし、右決定が、単に一定内容の継続的な施策を定めるにとどまらず、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その活動が相当長期にわたる当該施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合には、右特定の者は、右施策が右活動の基盤として維持されるものと信頼し、これを前提として右の活動ないしその準備活動に入るのが通常である。このような状況のもとでは、たとえ右勧告ないし勧誘に基づいてその者と当該地方公共団体との間に右施策の維持を内容とする契約が締結されたものとは認められない場合であつても、右のように密接な交渉を持つに至つた当事者間の関係を規律すべき信義衡平の原則に照らし、その施策の変更にあたつてはかかる信頼に対して法的保護が与えられなければならないものというべきである。すなわち、右施策が変更されることにより、前記の勧告等に動機づけられて前記のような活動に入つた者がその信頼に反して所期の活動を妨げられ、社会観念上看過することのできない程度の積極的損害を被る場合に、地方公共団体において右損害を補償するなどの代償的措置を講ずることなく施策を変更することは、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、当事者間に形成された信頼関係を不当に破壊するものとして違法性を帯び、地方公共団体の不法行為責任を生ぜしめるものといわなければならない。そして、前記住民自治の原則も、地方公共団体が住民の意思に基づいて行動する場合にはその行動になんらの法的責任も伴わないということを意味するものではないから、地方公共団体の施策決定の基盤をなす政治情勢の変化をもつてただちに前記のやむをえない客観的事情にあたるものとし、前記のような相手方の信頼を保護しないことが許されるものと解すべきではない。

 

判事次項・裁判要旨

地方公共団体の不法行為責任

地方公共団体が定めた一定内容の継続的な施策が、特定の者に対して右施策に適合する特定内容の活動をすることを促す個別的、具体的な勧告ないし勧誘を伴うものであり、かつ、その特定内容の活動が相当長期にわたる右施策の継続を前提としてはじめてこれに投入する資金又は労力に相応する効果を生じうる性質のものである場合において、右勧告等に動機づけられて右活動又はその準備活動に入つた者が右施策の変更により社会観念上看過することができない程度の積極的損害を被ることとなるときは、これにつき補償等の措置を講ずることなく右施策を変更した地方公共団体は、それがやむをえない客観的事情によるのでない限り、右の者に対する不法行為責任を免れない。

二 村が工場建設に対する協力を拒否する方針をとり損害を与えることが違法な加害行為にあたるものとされた事例

村長が特定の者に対しその者が村内で行う工場の建設・操業に全面的に協力することを言明し、村有地を工場敷地の一部として提供する旨の村議会の議決を経由したうえ積極的に工場建設を促し、右特定の者は右協力が継続するものと信じて工場敷地の確保・整備、機械設備の発注等を行い、村の側もこれを予想していたなど、判示の事実関係のもとにおいて、右工場建設に反対する村民の支持を得て当選した新村長が、右特定の者に生ずべき多額の積極的損害について補償等の措置を講ずることなく、右工場建設の途中でこれに対する協力を拒否した場合には、右協力拒否は、やむをえない客観的事情が存するのでない限り、右特定の者に対する違法な加害行為たることを免れない。

参考条文

民法709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

国家賠償法1条1項(公務員の不法行為と賠償責任、求償権)
国又は地方公共団体の公権力に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。

公務員試験をはじめとする国家試験では頻出の判決のようです。
まなぶネットワークさんのサイトもわかりやすかったです。

今日のひとこと

昨日注文したほぼ日5年手帳がさっそく届きました✨
8月1日から日記をはじめたかったので、昨日の日記はポストイットにつけておきました。

判例を読んでいてやっておかなきゃ!と思ったのは市街化区域(市街化調整区域)、国政調査権のあたり。
寝る前に読んでおこう…!ではまた♡